Vol.28 |
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モギ ちいさな焼きもの師
(もぎ ちいさなやきものし)
■発行所
あすなろ書房
■著者
リンダ・スー・パーク(訳:片岡しのぶ)
■定価
1300円
■ジャンル
児童文学 |
親もなく、家もない、本当の名前を知らずに育った少年モギ。その日食べるものをどうやって調達するかだけを考えて生きてきたモギが、ある日、高麗青磁の美しさを知り、焼きもの師になることを夢みるようになる。どんな境遇であろうとも、明日を信じて凛として生きる少年の成長の物語。(カバー広告より)
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「12世紀後半、韓国西海岸の小さな村に、こんな少年がいた。」
という扉の一節ではじまるこの物語は、青磁の村として有名なチュルポ村に住む少年モギが、国で一番腕が良いといわれる焼きもの師の元に仕え、小さな焼きもの師としてたくましく生きていこうとする姿を描いたものです。
両親を亡くしたモギは、橋の下で暮らすトゥルミじいさんに引き取られ一緒に暮らしています。足の悪いトゥルミじいさんとモギには働くすべもなく、焼きもの師ミンの元で働くようになる前までは、民家のゴミ箱を回って残飯を探さなくては食べていくことができないような毎日を送っていました。しかし、そのような生活の中でもトゥルミじいさんは人間としての尊厳と誇りを大切にし、モギとともに明るく、笑いをたやすことなく生き生きと暮らしていたのです。
そのような境遇だったからこそ、ミンの元で働くことができたときのモギの喜びは計り知れないほど大きいものでした。
初めてミンの家で昼食をもらったとき、つつましい食べ物を前にして彼はこう思います。(王様のごちそうにだって負けないぞ。この世では、働いていただく食べ物がなんといってもいちばんのごちそうなのだ。)
ミンが作った瓜型瓶を宮中に献上すべくソンド市へと旅に出たモギの道中と、献上を無事に終えてチュルポ村に帰ったときに彼を待っていた悲劇と幸福。この物語は働くことの大切さ、そして人間へのやさしさと愛情、それらを少年の目をとおして私たちに思い返させてくれる、すばらしい作品です。2002年度ニューベリー賞受賞作。
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