■取材後記■
―テーブルウェア・フェスティバル取材を終えて―
 まか陶編集室では、今年初めて「テーブルウェア・フェスティバル」を取材いたしました。まずはその規模の大きさと、来場者数の多さに圧倒されましたが、しばらく会場を観察していると、各ブースによって人の流れ・滞在時間が明らかに違うことに気付きました。

 ある販売ブースでは、いつも人垣ができお客さんの滞在時間も長く大繁盛。人が人を呼んでいるような感じでしょうか。ところが別の販売ブースでは、商品もいいものだし、お客さんの来店もひっきりなしなのですが、滞在時間が短く買い物までに至る数が少ない。この差は一体なんだろうと、私も「お客さん」として各ブースに入ってみました。

 客さんの滞在時間が長く、よく売れているブースでは、販売に至るまでの「プロセス」が非常に充実しているのです。例えば、まず販売員さんの違いがあります。ここでは、客層と同じ主婦世代の女性が販売員として前面に出て、商品の説明をされていました。お客さんと同じ目線、同じ感覚で品物の特性を説明することで、主婦の方々にも「感覚」としてすばやくそのよさを理解できる。横で見ているとその様は、「口コミ」のようでもありました。
 また商品の見せ方にも一工夫あります。一例をあげていうと「若い夫婦向けの食卓」というコンセプトに基づいて、商品を構成。さらには器とセットされたマットなどの小物も購入できるといったコーナーを発見!思わず私も買っちゃいそうになりました。
「どうして欲しいと思ったのかした?」と考えてみると…。「欲しい」と手を伸ばした商品は、自分の生活の中でこう使ってみようと想像ができるんです。

 の会場ではあまりの広さに、「もう一度このブースに戻ってこよう」とは思えないんですね。思ったとしても、大量に展示されている器を見ているとすぐにお腹がいっぱいになってしまうのです。そういう中では、いかにすばやく「これは私にぴったりの品ね」とお客さんに認識してもらう必要がありそうです。その為には、商品のよさをPRするのも大事ですが、お客さんの生活の中にイメージできるようなPRをしなくてはいけないのではないでしょうか
 以前「良い品は置いておけば売れる。何も色々小細工をしてお客にこびる必要はないのだ。今の時代にこれが売れないのは、見る目をもっている人が少ないのだ」と言っていた商売人さんを思い出しました。はたしてそうでしょうか?
良い物を「良い」と伝えるためには、お客さんの心にひっかかるような「プロセス」が必要なのです。それはお客さんと、品物を結びつける一種のコミュニケーションのようなものであって、何も小細工やお客さんに媚びをうることではないのになあ、と客の立場として思ってしまいます。

 た会場では各展示ブースも非常に充実していました。それは単に「コーディネート法や商品の紹介」にとどまらず、「食卓における楽しさ」をいかにして伝えようという徹底した姿勢。特設ステージにおける各種講演においてもしかりです。

 ーブルウェア・フェスティバルのテーマは「大切な人に心をこめたおもてなし」とあります。おもてなしと聞くと豪華にしなくてはと思いがちですが、何もそういうことだけではないのだと思います。お客さん(大切な人)をむかえるまでの「プロセス」を大事にすることで、このテーマに行き着くのだと思います。