■日本の器を訪ねて(1)温故創新〜有田焼〜■
今年のテーブルウェアフェスティバルの国内特集は「有田」。「温故創新」をテーマに、有田焼の今昔、これからの新しい有田焼への挑戦をご紹介するものでした。
―有田の巨匠の器―
「温故創新〜有田焼〜」コーナーでも見所のひとつだった「有田の巨匠の器」。ここは、有田を代表する作家、青木龍山氏、井上萬二氏、今泉今右衛門氏、酒井田柿右衛門氏の食器を、地元のテーブルコーディネーターがセッティング。中でも、今年の春に襲名披露個展を控えた14代今泉今右衛門氏のコーナーに注目する人が多かったようです。こちらは「初春 寿ぐ ハレの日の器」をコンセプトに、墨色を用いた新作によるセット。初めて見る色調と、そのモダンさ。できることなら、手にとって見たかったですね。そしてあっと驚くモダンなコーディネートは、青木龍山氏の器たち。青木氏の作品といえば、天目の黒を思い出しますが、その黒とガラスの透明感、シルバーの輝きが見事に調和し、とても新鮮な印象でした。思わず、何度も立ち戻ってしまいました。


14代今泉今右衛門氏。墨色という新しい色調の世界の展開が期待されます

青木龍山氏。テーブルコーディネーター福田雅子さん作。テーブル全体がきらきら輝く水面のようです


―有田銘窯のセッティング―
 有田でも銘窯と呼ばれる、人気の窯元から美しいテーブルを提案するコーナー。各窯の特徴的な器をそれぞれのシーンでディスプレイされていました。そのなかでも男女を問わず、人気を集めていたのが「源右衛門窯」のコーナー。「源右衛門窯」は「古伊万里のこころ」を大事にしながら、新しい感覚の器を発表しつづけています。食器はもとより、カトラリーやリネン類に至るまで、オリジナルで揃うことからファンも多いのです。今回は伝統的な古伊万里柄の作品を主軸にし、端正な雰囲気をかもし出しています。朱色と染付の青のコンビネーションも注目ポイントでした。
 また賞美堂本店からは、豪華な金襴手のカップなどが展示。それだけで一気に空間が華やぎそうです。こちらはお年を召した方に人気があったようでした。


源右衛門窯のテーブル。よく見ると、フォークの柄も磁器、しかも染付です。

賞美堂のテーブルは、華やかでひときわ輝いていました