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やきものの街・有田が紹介される時に、窯の煙突が並ぶ街並みの写真をよく見かけます。この写真でよく見かける「ヤマトク」の文字がある煙突。ヤマトクさんは1750年創業という老舗の窯元さんですが、器のみならず、衛生陶器やシャンデリアなどのインテリア、ガーデニング用のエクステリアなども手がけられている窯元さんです。 ちょうどおじゃました前日も、産官連携による有田焼と空気清浄器を組み合わせたアイデア商品を開発されたことが、新聞でも話題になっていました。今回は新商品開発をご担当されている、企画課長・副島重忠さんにお話をうかがしました。 ―よろしくお願いします。実は佐賀県立九州陶磁文化館にある有田焼のトイレは、ヤマトクさんの商品だとうかがったことがあるのですが。 はいそうです。生産量でいくと、8割は器をつくっているのですが、うちはもともと、昭和初期頃までは荒物とよばれていた、大きな商品づくりを得意としていました。その技術を使って便器や手洗い鉢などの衛生陶器、インテリアなどもつくっています。有田でつちかわれた伝統工芸の技をもっと広く生かせるのではということで、様々な商品開発に取り組んでいるんですよ。 衛生陶器はバブル後から開発をはじめました。その当時、住宅に和を取り入れたいという声も高まっていましたし、ヨーロッパからの輸入品の品質がいまいちだということだったんですね。私達も、開発には苦労しました。大きなものですから、焼成したときに変形がしやすのです。なんとかこれをクリアでき、衛生陶器専門メーカーさんからも「有田焼で衛生陶器ができるなんて」ととても驚かれました。今でも、有田焼で水洗用衛生陶器を生産しているのはうちだけですね。 ―素敵な絵付けも施されていて、とても美しいですよね。 ありがとうございます。見た目だけではなく、環境や品質にもこだわっているんですよ。酸性の洗剤に強く、環境にも優しい無鉛の絵具を使って絵付けを施しています。また表面には酸化チタンコーティングを施しています。酸化チタンは光触媒という働きをもっていて、科学物質を使うことなく、太陽や蛍光灯などの光あびて、汚れを分解したり殺菌効果を発揮するものです。もちろん酸化チタンは人畜無害の成分ですので、環境にも人にも優しいのですよ。見た目が美しいだけではなく、10年後も満足して使用していただけるよう、やれるだけのことはやろうという気持ちで、商品開発に取り組んでいます。 ちょっとここで音楽でもいかがですか?(手品のBGMで知られるポール・モーリアの『オリーブの首飾り』が流れ出す)実は今、お聞きいただいている音楽は、私どもがつくったスピーカーから流れているんですよ。さてスピーカーはどれか当ててください(笑) ―え?もしかして有田焼のスピーカーですか?ええっと(器がたくさん並ぶショールームを音をたよりに探す)わ!もしかして、この丸い壺のようなものがスピーカーですか?クリアでいい音ですね! ええそうなんですよ。もちろん有田焼ですよ。とあるところで、スピーカーの材質は硬いものほどいい音がでる。ダイアモンドでスピーカーを作ったらきっといい音が出るという話を聞きまして。それなら磁器でもいいスピーカーができるかもと、10年ほど前に開発したものです。 こういった様々な製品開発にスピーディーにチャレンジできるよう、各製造工程を社内で完結できるようにしています。特に大きいサイズの製品をつくりますので、本窯はおそらく日本一の大きさだと思います。これから工場へ行ってみましょう。 (場所を工場へうつして) ―うわあ、広くてきれいな工場ですね。むむ、この大きな機械は何ですか?(径が2m以上はありそうな機械) なんだと思います?ろくろなんですよ!そして上に付いているクレーンのようなものが、ヘラの代わりです。大きいでしょう。1996年に佐賀で開催された「世界ほのおの博覧会」会場を飾った噴水に4尺のどんぶりを使用したのですが、その巨大どんぶりをこれで作ったんですよ。 さ、こちらが本窯です。大きいでしょう。窯に製品をつめる時も、なるべく負担を少なくするようにアーム機を使ったりと工夫しています。この窯は酸素をガスと結合させて燃焼させるので、二酸化炭素の排出も最小限に抑えられ、環境に配慮したものです。 隣の部屋へどうぞ。こちらは絵付けの部屋ですね。絵付けにも様々な工程がありますので、それぞれの職人がどの工程も作業できるように教育しています。 ―釉薬かけも職人さんがひとつひとつ作業なさっていましたが、それぞれの職人さんの技が最大限に発揮されているのがわかります。こういった製作にいたるまでの、新しい商品開発を行うにはどういったことがポイントになるのですか? そうですね、やっぱり自分たちでやってみようというチャレンジ精神が一番大事だと思います。そしてあきらめないことですね。また製品は一度つくり終えたら、終了ではありません。より使いやすくより楽しくなるよう、改良してこそ商品開発のヒントをつかめるのだと思います。それにはお客さんの声を聞くのが一番です。使う人の声や気持ちこそに、開発のヒントが隠れています。私も実際に展示会などにはできるだけ出席して、直接お客さんの感想を集めています。 食卓ももちろんですが、有田焼の技術で生活空間を美しくそして楽しく便利に彩ることができればよいですね! 事務所、ショールーム、工場と各職場を拝見させていただきましたが、全ての社員の方ががすがすがしく挨拶をなさるので、こちらも気持ちよくなりました。お一人お一人がチャレンジ精神をもって、製作に取り組んでいらっしゃる姿がよくわかります。伝統工芸の技術を様々な分野にいかしつつ、かつ新しい製品をもつくりだすという姿勢に、物つくりに終わりはないことを感じさせられました。また私達を驚かせてくれるような、楽しい新製品を期待しています! |
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