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2009 おすすめ展覧会
−全国美術館で開催のやきもの関連展覧会−
タイルに咲いた憧れの花・バラ
19世紀ヴィクトリアンタイルから
<会期>平成21年10月31日(土)〜22年3月28日(日)
 その香りや姿から、名誉を象徴する花として王侯貴族など特権階級の人々に愛でられたバラ。19世紀、ヴィクトリア時代のイギリスでは、上流階級の暮らしに憧れた中産階級の人々が 、当時普及したタイルの図柄にそのバラを好んで取り入れ、生活に彩りを添えました。
バラが人類とかかわりを持つようになったのは紀元前といわれ、初めて文献に登場したのは紀元前2000年頃の古代メソポタミアに遡ります。「ギルガメッシュ叙事詩」に、トゲのある永遠の命を与える樹としてバラが紹介されています。また、エーゲ海のクレタ島にあるクノッソス宮殿(紀元前2000年〜1700年建造)の壁にはフレスコ画で描かれたバラがのこされています。そして、紀元前12世紀ごろには、すでに古代ペルシャで栽培され、以来特権階級の間で香料や薬用に利用されてきました。クレオパトラは、バラの花弁を浮かべた風呂をこよなく愛し、ダマスクローズの香油を体に塗っていたと伝えられています。また、古代ローマでも、宴会場の床にはバラの花弁が敷き詰められていました。このようにバラは、古くから王侯貴族など一部の限られた人々によって愛でられてきました。
19世紀ヴィクトリア朝時代に世界の覇権国家に上りつめたイギリスでは、産業革命が成し遂げられ、その経済的繁栄は最高潮に達しました。なかでも富を築いた中産階級の人々の間では、「豊かな住まい」の実現を目指す風潮が高まりました。職住分離が進み、人々は郊外に戸建の住宅を建てるようになり、インテリアに装飾タイルが広く普及していきました。また、「田園生活」への憧れから、だれもが園芸に親しみ、バラをはじめ外国の珍しい植物が盛んに栽培されました。バラはその美しい姿で咲いている期間は長くはありません。バラの美しさを永遠にとどめておく素材としてタイルが選ばれたのです。当時の自然主義やゴシック・リバイバル、アール・ヌーボーの流行を反映して、写実的なものから曲線的にデフォルメされたものまで、さまざまな趣をもったバラがタイルに表現されました。
本展では、古来人々を魅了し続けてきたバラの魅力をひも解きながら、これらのタイルをとおして、高貴なバラをインテリア素材として使い始めた人々の喜びや感動をお伝えします。

会場 世界のタイル博物館 1階企画展示室
住所 〒479-8586 愛知県常滑市奥栄町1-130
電話 0569-34-8282
入館料 無料(ただし、その他の展示施設見学には共通入館料が必要)
開館時間 10時−17時(入館は16時30分まで)
休館日 第3水曜日(祝日の場合は翌日)
年末年始12月26日〜1月4日
URL http://www.inax.co.jp/ilm/
交通 [バス]名鉄常滑線「常滑」駅または中部国際空港より
知多バス「知多半田駅」行き「INAXライブミュージアム前」下車徒歩2分
名鉄常滑線「常滑」駅より
観光循環“とことこバス”(土・日・祝日のみ運行)「INAXライブミュージアム」下車

[車]名鉄常滑線「常滑」駅より約6分
中部国際空港より約10分(「りんくうIC」降りる)
知多半島道路「半田IC」より約15分
(乗用車・バス駐車場完備)
関連イベント 講演会:「バラの魅力とその文化史」
講師:上田善弘〔うえだよしひろ〕(岐阜県立国際園芸アカデミー教授)
古代から人びとを魅了してきた「バラ」について、その歴史や文化的背景をひも解きながら「バラ」の魅力についてお話しいただきます。
日時:平成22年2月13日(土) 15時30分〜
会場:「世界のタイル博物館」セミナールーム
定員:先着50人、聴講無料
※講演終了後、「世界のタイル博物館」エントランスホールにて交流会を開催します。
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