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2010 おすすめ展覧会
−全国美術館で開催のやきもの関連展覧会−
藤本能道
命の残照のなかで
<会期>平成21年10月31日(土)〜4月18日(日)
17年前の1992年3月、藤本能道の生前最後の新作展「陶火窯焔」が開かれました。そのときの出品作に辰砂の赤が印象的な一連の作品がありました。赤い花に群がる虫たち、炎のなかに飛び込む蛾が描かれた壷や筥で、その描写は強く哀しく、作品によっては息を呑むほどの凄みがありました。作家の内なる思いがあらわれた色絵表現は、写生にこだわり続けた。藤本の新境地と言うべきものでした。
 当時、藤本の名声はすでに確立されておりました。富本憲吉、加藤土師萌の後を継ぐ20世紀後半の色絵磁器の第一人者であり、1986年には「色絵磁器」の技術保持者として重要無形文化財(人間国宝)に認定されています。それでもなお、藤本は芸術的な高みを求め続けました。そして、その思いが達成されたときには余命は幾許も残されてはいなかったのです。藤本は、展覧会から2ヵ月後の1992年5月に73歳でその生涯を終えています。
 本展は、藤本の色絵の集大成と言える「陶火窯焔」展出品作を中心に、1970年代、1980年代の代表作により、藤本の色絵磁器の真価をご覧いただく内容です。展示作品は、藤本と親交の深かった当館の設立者、菊池智のコレクションで構成いたします。また、作家への深い尊敬と哀悼の思いを託すべく、展示デザイナー、リチャード・モリナロリ氏を米国より招聘し、作品に合わせて会場を特別にデザインしていただきました。藤本の色絵の転機となった1976年作の昭和天皇に捧げたディナーセット「幻の食器」も合わせてご紹介いたします。

会場 菊池寛実記念 智美術館
住所 〒105-0001
東京都港区虎ノ門4-1-35 西久保ビル
電話 03-5733-5131
入館料 一般1,300円/大学生800円/小・中・高生500円
開館時間 午前11時〜午後6時まで
(入館は午後5時30分まで)
休館日 毎週月曜日(ただし11月23日、2010年1月11日、3月22日は開館)、
11月24日(火)、
2010年1月12日(火)、3月23日(火)、
年末年始12月28日(月)〜2010年1月1日(金・祝)
関連イベント 記念鼎談
「藤本能道の人と作風」

栗木達介氏(陶芸家)、菊池智(菊池美術財団理事長)、
聞き手=林屋晴三(智美術館館長)
開催日 11月14日(土)午後3時〜午後5時
ところ レストラン ヴォワ・ラクテ(智美術館1階)
会費  お一人様5,000円(観覧料を含みます。)
●お申し込みは美術館まで
(会場の都合により定員は50名様とさせていただきます。)

講演会
1.「東洋の色絵磁器(中国・日本を中心に)」
講師=大橋康二氏(前・佐賀県立九州陶磁文化館館長)
開催日 2010年1月23日(土)
2.「戦後陶芸と藤本能道」
講師=金子賢治氏(東京国立近代美術館工芸課長)
開催日 2月6日(土)
3.「藤本先生の思い出」
講師=高橋誠氏(陶芸家)、前田正博氏(陶芸家) (聞き手=林屋晴三)
開催日 3月13日(土)
●いずれも午後2時より
●ところ 智美術館展示室
●観覧料でご聴講いただけます。

学芸員によるギャラリートーク
2009年11月7日、21日、28日、12月5日、19日、
2010年1月16日、30日、
     2月13日、20日、27日、
     3月20日、27日、4月3日、10日
●いずれも土曜日午後2時より

西洋館見学会
当館敷地内の西洋館(登録有形文化財)は、大正時代に建てられた後、保存・修復を重ねながらも建具等の室内装飾が丁寧に保全され、今日まで使用されている希有な建物です。通常非公開の内部を展示会の期間中に特別公開いたします。
西洋館のご案内(建築家 篠田義男氏)、美術館観覧料(学芸員の解説付き)、レストランでのお茶・ケーキのサービスも含め、お一人様8,000円です。
開催日 12月12日(土)、2010年3月6日(土)いずれも午後2時より
●各回20名様(お問い合わせ・申し込みは美術館まで)
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