トップ >> うまか陶ジャーナル >> 「器と料理と窯めぐり」同行取材

「器と料理と窯めぐり」同行取材

 前回、武雄市温泉活用推進実行委員会で推進されている「ノスタルジー武雄 時巡り温泉祭」の事前取材を行いましたが、今回はこの温泉祭の開催期間中の「器と料理と窯元めぐり」の初日となる9月25日に、このプログラム参加の観光客の皆さんに同行し取材を行いました。


 この日は好天に恵まれ夏日を思わせる陽射しの中、集合時間に少し時間があったので、武雄温泉のシンボルである楼門周辺を見て回ると、あちこちに「ノスタルジー武雄 時巡り温泉祭」のポスターが張ってあったり、温泉街の道脇には一般の人や子供たちの手作りの灯篭が並んでいたりで、祭りの雰囲気を予感させる装いとなっていました。
 今回同行取材した「器と料理と窯元めぐり」のプログラムは、21あるプログラムの一つ。武雄の窯元から選りすぐられた器が、宿の懐石料理を盛る器として登場。更に、その器を作った窯元の中から3軒の窯元を訪ね、窯主と直接話しをしたり、器を買うこともできるという器好きには堪らないツアーとなっています。

 指定された旅館・東洋館さんに行き、参加者全員が集まるまで暫し館内を見て回りました。やはり、どうしてもやきものに目が行ってしまうのは、悲しい性でしょうか、ロビーのテーブルのガラス天板の下には古伊万里の器が仕舞われているし、あちこちに地元の有名作家の作品を始め、多数の作品が廊下や室内に飾られています。また、地元で作られた器や鍋島の器が販売されているかと思うと、廊下の一角には古伊万里のそば猪口なども販売されていて、まるで館内がギャラリーといった趣でした。
 さて、プログラムの最初は旅館で用意されたマイクロバスに乗って、当日懐石料理に盛られる器を作られた窯元を回るコースでした。この日は規窯さん、小山路窯さん、汲古窯さんというルート。最初は口数も少なかった参加者の皆さんも、規窯の井上さんの話が終わるやいなや、展示されている作品について色味や使い方などの質問が出たかと思えば、お茶うけに出た奥様手作りのケーキやゴーヤの漬物の作り方にまで及び、窯主と奥様との歓談が参加者には新鮮な魅力となったようです。誌面の都合上割愛しますが、この後の2軒の窯元でも同じよう歓迎を受け、参加者にとっては窯主に直に話しができたいい思い出となったようです。
 窯元めぐりを終え東洋館さんに戻ったら、いよいよお昼の懐石料理。料理長さんが挨拶に見え、ここでも参加者から質問が出て、楽しいひと時の歓談がありました。一人ひとりに用意された御膳の上には食前酒と前菜が装っており、全員で乾杯した後は次々と地元で作られた器に盛られた料理が11品登場。参加者の皆さんからは「おいしい!」「豪華!」と感嘆の声が頻り。途中で「もうお腹いっぱい」という声があちこちで聞こえていましたが、食事が終わり残った膳の上を見ると、ほとんどの膳の上は空になった器だけ。「うーん、おいしいものは別腹か」と妙に納得してしまいました。これで一応解散し、後は皆さん宿のお風呂に入ったり、散策に出て行かれていたようです。

 取材を終えて反省したことが一つ。佐賀にはたくさんの窯元があります。とても全部の窯元を訪ねるのは無理だと言い訳をしながら、今まで展示会や店頭に並んでいる商品をみて済ませていたところがありましたが、今回初めて訪問した窯元で店頭などに並んでいないもので、こんなにいいものがあるじゃないかと新たな発見をしました。今後はできるだけ先入観を捨て、窯元を訪問していかねばと思った次第です。

 ところで、このツアーの1コースを回っただけでも、地元のいい素材を生かしながらコラボレーションすることで、ツアー参加者は直に触れ合い、コミュニケーションができたことは、どこぞのコマーシャルのコピーではないですが、「モノより思い出」を残すことができたようです。ただ見て回るのではなく、触れて、使って、その歴史や作り方などの話しを聞くことで、地元の素材を理解し楽しむことができるという、またとない機会になったと思います。
 しかし、惜しむらくはそこで得られた知識や楽しみは部分的であり、断片的なもののようです。もし、事前に当日のコースに入っている各窯元や宿の紹介であるとか、器をどのようにして選んだのか、あるいは見所などの資料を用意してもらえれば、もっと理解を深められたであろうし、楽しみも倍増したのではないかと思われます。武雄でなければならない理由の演出があれば、武雄独自のオリジナル商品としてブランド化が図れるのではないでしょうか。

 今回のイベントは地域のブランディングの模索の中から生まれてきたもので、まだ商品開発とリサーチの段階だと関係者の方々が話されていましたが、今後幾つものプログラムの中からブランディングに適したプログラムに収斂されていくでしょう。
 しかし、参加する観光客は今日の「思い出」を土産に武雄を後にされます。この「思い出」をどう演出し、どのような思い出を持って帰っていただくかが今後のこのイベントの成否の鍵を握っているのではないでしょうか。
 武雄市という一地域の中で、器とグルメと温泉、そしてその器を作った古唐津の流れを汲む多くの窯元、歴史ある町並みやロケーションといった素晴らしい観光素材がそろった所であるだけに、ここだけの「いい思い出」を期待したいものです。

※このレポートは2004年に取材したものです。

 「ノスタルジー武雄 時巡り温泉祭」の詳しい内容についてのお問合せは下記へ
●武雄市温泉活用推進実行委員会(武雄市企画課内)
電話 0954-23-9325 e-mail takeo-onkatsu@city.takeo.saga.jp
●武雄市観光協会
電話 0954-23-7766 http://www.city.takeo.saga.jp/takeo-kk/


取材協力:武雄市温泉活用推進実行委員会(武雄市企画課内)


Copyright(C)2002 Fukuhaku Printing CO.,LTD
このサイト内の文章や画像を無断転載することを禁じます