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温泉とやきものを核に、地域活性化に挑む武雄市

 読者の皆さんは武雄古唐津というのをご存知でしょうか? 初めて聞かれた方が大半ではないでしょうか。実は地元の佐賀でもあまり知られていません。古唐津といえば茶陶として有名ですが、この古唐津を生産した窯の多くは武雄市にありました。また一昨年根津美術館において「知られざる唐津」展として二彩唐津が紹介されましたが、この二彩唐津は実は現在の武雄市でつくられていました。各地の大名屋敷では生活道具として使われ、東南アジアにも輸出されていたそうです。大正の民藝運動が盛んなときに、その素朴で大胆なデザインが認められ、民陶として認知されるようになりました。そして今日では唐津焼とは違うものというのが一般的な認識となっているようです。そこで、今地元の窯元さんが中心となり、新たに「武雄焼」というネーミングでブランディングしようとする動きも出てきています。


 古唐津の生産地だった武雄市には、また歴史ある温泉があります。JR博多駅からだと、佐世保行きに乗って約1時間、有田駅の一つ手前にある武雄温泉駅で降ります。武雄温泉の歴史は古く、約1300年前、天平年間に編纂された「肥前風土記」の中でも紹介されているそうです。また、豊臣秀吉が朝鮮出兵した際に兵士たちに書いた入湯心得も残されているそうです。そして江戸時代には長崎街道の宿場町として栄え、伊達政宗やシーボルト、宮本武蔵が逗留した記録なども残されています。武雄温泉のシンボルである楼門、復原なった武雄温泉新館は、東京駅などを設計した辰野金吾博士が大正3年に建造されたもの。というふうに武雄温泉だけでも歴史が楽しめるところです。

 武雄市内には現在、ホテル・旅館など宿泊施設が26ヶ所、藩政時代の別荘跡地の庭園、県立の宇宙科学館やレジャー施設が充実した保養村などがあり、武雄市を訪れる観光客は年間120万にも昇るそうです。しかし、温泉の利用客や宿泊客は年々減少する一方で、これに歯止めをかけようと、温泉と地元の器などのコラボレーションで街を活性化しようとする官民一体のプロジェクト「武雄市温泉活用推進実行委員会」を取材してみました。

 このプロジェクトは、武雄市からの呼びかけで昨年5月に発足したもの。上部組織である協議会メンバーは武雄市、地元各界のトップの人々が参加する組織。その実行部隊として実行委員会があり、一般公募の市民も含めたメンバーで観光客を誘致する各種プログラムの運営や立案をされています。武雄市がすすめる「美と健康のブランド化へ」の総合計画にのっとり、実行委員会では昨年「ノスタルジー武雄 時巡り温泉祭」と銘打って、15のプログラムを準備し開催されました。昨年は九州各県からの観光客やレジャー客など約23,468人が訪れ、陶芸や足湯などとコラボレーションされたプログラムに人気があったそうです。なかでもマイ武雄焼創作コースの人気は高く、特に燈籠づくりは他では見られないユニークな教室となっています。また、この時のアンケート調査によると、グルメとやきものの要望が高く、今年は昨年よりも多い20のプログラムが用意されています。

 今年のプログラムで注目は、うまか陶にもコラムを執筆していただいている筒井ガンコ堂氏がプロデューサーとして、旅館の料理長さんたちと一緒に窯元を訪ね、旅館で提供する器を選ばれています。これまで有田に近いこともあり、地元の器を使うことが少なかった旅館やホテルの関係者も、地元で作られた器を目にして、質の高さに一様に驚かれたようです。この器は新プログラムメニュー「器と料理と窯元めぐり」で披露されます。うまか陶も雑誌社向けの内覧会に参加し、読者の皆さんより一足早く武雄の味を堪能してきました。
 器と料理と窯元ツアーは、10軒の窯元と9軒の旅館・ホテルがこの企画に参加。10軒の窯元の作品の中からガンコ堂氏や料理長などが選んだ器が、各旅館やホテルの昼食で出される懐石料理に登場し、器と味を楽しめるというもの。期間は9月25日から10月31日までの毎週水・木・土・日曜日のいずれかの旅館・ホテルで堪能できます。ツアーは5時間のコースで、先ず3箇所の窯元巡り(日程により巡る窯元が違います)、それからメインの昼食、温泉入浴、武雄温泉新館フリー見学で4,250円となっています。

 ところで、武雄市には現在、約20軒の陶芸家や窯元が黒牟田焼、多々良焼、小田志焼として多くが古唐津の流れを継承しています。また、陶器だけではなく、青磁・青白磁など磁器の陶芸家もあり、武雄市内だけでも多様なやきものが見られるのも魅力の一つです。
 武雄市北部地域の黒牟田一体では、毎年11月下旬には民陶火まつりが開催され、たくさんのファンが訪れています。また、この地は武雄の陶器の発祥の地として、朝鮮出兵に同行した深海宋伝が開窯した竹古場山には肥前陶器窯跡(国史跡)があります。そして竹古場山には竹古場キルン公園があり、世界最大の登り窯「飛龍窯」が造られており、毎年3月にはたくさんの陶芸ファンの作品がここで焼成れています。

 武雄市では、官民一体となって温泉と陶芸を核とした、様々なコラボレーションで地域に根ざした街おこしにチャレンジしています。うまか陶では、やきものとのコラボレーションというキーワードが、地域の活性化にどれだけの貢献ができるのか、それと「武雄焼」ブランド化の動向を追ってみたいと思います。
 次回は、実際に観光客と一緒にプログラムに参加し、観光客の声や、街の声を集めて特集します。
※このレポートは2004年に取材したものです。

 「ノスタルジー武雄 時巡り温泉祭」の詳しい内容についてのお問合せは下記へ
●武雄市温泉活用推進実行委員会(武雄市企画課内)
電話 0954-23-9325 e-mail takeo-onkatsu@city.takeo.saga.jp
●武雄市観光協会
電話 0954-23-7766 http://www.city.takeo.saga.jp/takeo-kk/


取材協力:武雄市温泉活用推進実行委員会(武雄市企画課内)


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