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家庭でのゴミの分別はどうされていますか? 燃えるゴミ、燃えないゴミ、なま物の処理などなど。地域によっても違いがあるようですが、家庭の主婦にとっては大変な労働です。企業などでも製造から廃棄物にいたるまで、事業所では細かく規定してリユース・リサイクルに多大な労力を費やしています。今や地球上に生きる者の責務として社会的に認知された活動となっています。
やきもの業界でも無鉛絵具や、廃棄物の建設資材として再利用、使用済み食器の回収・リサイクルなどの取組みがなされてきました。しかし、私たち消費者はややもすると食器の原料となる陶石は無尽蔵にあるものという無意識の思い込みがあるように思えます。ところが陶石も限りある資源、一説によると有田で使われている陶石の埋蔵量は合計するとあと200年とも。この限りある資源の陶石を少しでも長く使っていけるように開発されたのが有田エコポーセリン。「白から白へ」をテーマに、従来磁器はいったん焼成したものを再び原料として使用することは不可能といわれていたものを、佐賀県窯業技術センターでの3年間の研究で、21%再生原料を混入することで白磁を再生することに成功。市場に出回った製品は使わず、工場内で出た規格外品を再利用することでバージン原料と変わらないリサイクル商品となっています。今後は混入率を50%まで上げたエコポーセリンの商品化と、更にエコポーセリン強化磁器を発表する予定。「将来的には『eco』マークがついたエコポーセリンを回収して再利用したい」と大有田振興協同組合。
商品開発においても、昨年は有田では新しい試みとして外部のデザインを公募し5種類の商品がシリーズ化され、有田エコポーセリンというブランドで市場にだされました。しかし、エコという新しい商品価値と新たなライフスタイルを提案する有田の新ブランドの船出はなかなか厳しいようです。
うまか陶では今年2/27〜3/17にエコポーセリン21の「ronde」シリーズのマグカッププレゼントでアンケートを行いました。有効回答数は426人、内女性283人、男性143人。
集計の結果、食器のリサイクル商品があることを知っていた人は女性で82人(28.9%)、男性では43人(30.0%)と、まだ認知度が低いことがわかります。エコ商品についてはいいことだと答えた人の割合は、女性が98%、男性が99%とほとんどの人が認めながらも、積極的に使うとした人の割合は女性が57%、男性が50%と約半数となっています。では積極的に使わない理由の回答としては、@値段が高い(女性40%・男性32%)、A近くの店にない(女性35%・男性38%)、Bどれがリサイクル商品かわからない(女性9%・男性17%)、C材料等に不安(女性5%・男性4%)という結果でした。
そしてどういうリサイクル食器であれば使いたいかという問いには、気に入ったデザインと価格ならと答えた人が最も多く女性80%・男性71%、素材がはっきりしていればと答えたひとが女性15%・男性26%、それでも抵抗がある・あるいは関心がないと答えた人は女性2%・男性1%となりました。
このアンケート結果からみえてくるものは、消費者の認知度がまだまだ低いということ。その要因としては、商品自体があまり店頭に並んでいないということもありますが、PRが十分にされていないことが挙げられるでしょう。イメージだけのPRではなく、その素材についてもきっちりと説明する必要があるでしょうし、品質管理についても消費者に安心してもらえる内容でなければならないでしょう。更に価格についても値ごろ感が大切。特に今回のエコ食器は従来の「有田焼」というブランドではなく、「有田エコポーセリン」ブランドで店頭に並んでいます。確かに有田の高い技術力で開発された商品ではあるのですが、受け入れる消費者としては、「違うものだ」という意識がどうしても働くようです。時代の要請であるエコという新しい価値の商品を世に出すにはそれ相当の苦労がつきもの。窯元さん、販売店さんがんばって!
といっても、私たち消費者も考えなければならない課題でもあるようです。やはりどうしても口につけるものであるし、料理を盛る器は清潔であってほしいと願うのは人情。でもエコ食器は避けて通れないことであるならば、エコ食器がどういうものであるかを知ることも大事なことでしょう。
陶石という資源を最大限に末永く利用するには、エコ食器が市場に受け入れられなければなりませんが、そこには乗り越えなければならない問題があるようです。
1、 生産者は工程が増えるにも関わらず市場に受け入れてもらえるようにいいデザインで、効率化を図りコストダウンをしなければならない。
2、 販売者は今まで以上に消費者に十分の説明とPRをして理解を得なければならない。
3、 消費者の率直な意見をフィードバック。
この3つのサイクルが回り出せば、市場に受け入れられる商品がでてくるのではないでしょうか。
さて、次回は有田エコポーセリンと同じように新たな市場を狙って商品化された「究極のラーメン鉢」を特集します。
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取材協力:大有田焼振興協同組合
株式会社 まるぶん
株式会社 瀬兵
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