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やきものにみる文様VOL.13 雪輪文様(ゆきわもんよう)


 雪の結晶は一つの中心から六方に対称的に発達した平面的な形をもっていることが多い。雪輪は雪の結晶を図案化したもので、多弁の菊花形の周囲六方に小さな丸い切り込みをいれたもの。土井利位(としつら)は雪の結晶の観察を続け1833年に「雪華図譜」をあらわし、86個の結晶図を紹介しているという。しかし雪輪文は既に桃山時代の小袖に見られるという。彦根屏風における犬を連れた夫人、松浦屏風における髪を梳(くしけず)らせる婦人の衣装に雪輪が描かれている。これらの屏風は寛永年間(1624-43)の作と考えられている。小袖模様の見本帳にも多く紹介され、古い例では「御ひいなかた上下」(寛文7年・1667)にあり、元禄13年(1700)の「当流七宝常盤ひいなかた」の百三十番の雪柴かきに梅は、雪輪の中に柴垣を配し、それは写真に示す「染付雪輪柴垣文皿」(口径15.3cm・17世紀後半・有田皿山・館蔵品)の図柄と非常によく似ている。

雪輪の周囲の切り込みは六方に限らず、やきものではむしろ不定数の切り込みをいれた雪輪を描いたもののほうが多い。鍋島の作品には「染付菊水仙雪輪文皿」や「青磁染付雪輪文皿」がある。前者は一尺の大皿。雪輪を二つずらせて重ねて描き、その中にそれぞれ菊と水仙を描く。後者は青磁釉を背景に12個の雪輪を染付でちりばめた七寸皿。ともに18世紀初め頃の作品である。有田・南川原山の作品で「延宝年製」(延宝は1673〜80)の染付銘を高台内に記した作品が紹介されている。(「藍九谷と藍柿右衛門」山下朔郎著)。

 1670〜90年代に有田で型を用いて成形した雪輪形の三脚付白磁皿も伝わっている。そのほか長崎の亀山焼で丁寧に雪輪を描いた水指や、波佐見焼で乱雑に雪輪を描き散らしたくらわんか茶碗が知られている。
(吉永陽三)
佐賀県立九州陶磁文化館報
セラミック九州/No.17号より(昭和63年発行)

■写真…染付雪輪柴垣文皿
C佐賀県立九州陶磁文化館所蔵
■編集・著作…佐賀県立九州陶磁文化館
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