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絵で見るやきものの世界 香蘭社に伝わる有田焼絵柄見本図

万国博覧会出品用作品の絵柄見本図
 明治期の磁器の特色として装飾華美で技巧的な様式のものがあげられます。こういった作品は万国博覧会に次々と出品され、世界から高い評価を受けました。明治9年(1876)フィラデルフィア万国博覧会に香蘭社も出品。明治11年(1878)のパリ万国博覧会では香蘭社が金賞を受賞しています。
絵柄見本図の中には万国博覧会出品用の作品のものも残っています。この図には「仏国博覧会佐賀県陶磁器出品協会印」という印が押してあり、明治後期のものではないかと考えれれています。
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万国博覧会出品用作品の絵柄見本図(急須)
紙本着色
明治時代後期
C株式会社香蘭社所蔵
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 紙面の左上には印が押してあります。中央には「染錦」の文字が見られます。絵柄は一パターンのみ描かれており、全ては描かれてはいません。蓋の取っ手部には雷文が施されています。本体口部は唐花文で囲まれているようです。本体部には赤で唐草文様が描かれており、その上に丸い窓がいくつか並んでいます。丸い窓の中には市松文様や人物文など何パターンかが用いられています。
イメージ 万国博覧会出品用作品の絵柄見本図(壺)
紙本着色
明治時代後期
C株式会社香蘭社所蔵
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 紙面左上には「●●尺 製磁濃釉 華置上彫刻加へ」(●●は欠損)という文字が書かれています。その横には制作時の注意点がメモされています。紙面右上には「六拾六号」と赤で書かれ、印が押してあります。この作品は有田焼にしては珍しく彫刻装飾が施されています。雲文と雷文が配され、両脇に鯉の飾りが付いています。彫りの凸凹がわかるように丁寧に影が彩色されています。鯉の飾りにも大変細かいところまで彫りが入っています。

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