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絵で見るやきものの世界 香蘭社に伝わる有田焼絵柄見本図
 香蘭社は有田にある老舗の有田焼メーカーです。およそ三百年前の元禄の頃、初代深川栄左ヱ門が有田で磁器の製造をはじめたのが始まりです。1875年、欧米の「カンパニー」に倣った組織が必要と八代深川栄左ヱ門が、有田の有志とともに合本組織香蘭社を設立しました。
その香蘭社には、製品用の絵柄見本図や絵付けの指示図などが伝わっています。ここでは大正期のものを中心に華麗な絵柄見本図を紹介します。サイズはどれも縦30cm×横20cm程度のもので、実に細かいところまで書き込みや彩色がなされています。作品はもとよりこの見本図も素晴らしい芸術品といえそうです。
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献上品用コーヒーカップ
皿の絵柄見本(展開図)

紙本着色
大正時代
C株式会社香蘭社所蔵
 献上品とは今で言う「宮内庁御用達」のことです。香蘭社は、明治29年に宮内省御用達に指定され、現在に至っています。上部に描かれているのは皿で上から見た平面図で表されています。下部はコーヒーカップの側面を展開した形で図柄が描かれています。カップの持ち手の横に描かれているのは持ち手上面の図柄です。(一番右)全体に植物文様が配されており、菊文も配されています。菊文は皿もコーヒーも一箇所だけ描かれており、小さな円の部分に同様の菊文を配していたと思われます。文様は金彩で描かれているので、大変華やかな雰囲気の品であったろうと考えられます。

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