ぐい呑成長日記 読者のぐい呑成長日記
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■私の一品
田中佐治郎先生作 ぐい呑と徳利
11月20日(火)
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 最近、やきもののお店を回って思うことがあります。それは、日曜雑器を中心としたお店、錚々たるブランド品が並ぶ店、ライフスタイル提案をされているお店そしてギャラリー、他にも様々なスタイルのお店があると思うのですが、私たち消費者の意識とはちょっと違うのでは? と思えることがあります。消費者の意識は常に変化します。かくいう私も以前はそれほどの思い入れもありませんでしたが、ある器との出会いからいいものを使いたい、日常の生活の中で楽しむことができれば少しでも生活が楽しく、ちょっとだけ人生も豊かになるのではと考えるようになりました。こういうふうに消費者の意識は変わっていきます。ところがお店は昔のまま、あるいはここ数年ライフスタイル提案型といわれて店の中央に綺麗にディスプレイされていますが、そういう商品を購入される方は少ないのではないかと思います。私たちが商品を選ぶ際の基準は、デザイン、形が気に入って、その次に手に取って馴染むのか、そして飽きがこないか、さらにどういう使い方をしようかと思いを巡らしていきます。当然自分では判断がつかないことがありますので、お店の方に聞きます。ところが返ってくる答えはほとんどがその商品知識の羅列のような気がします。私が何も知らない消費者だから教えてあげようという親心なのでしょうが、これでは買おうという気が萎えてしまいます。
 ところで、佐次郎先生のぐい呑みはシンプルではあるのですが、非常に風格があり手に取るたびに嬉しくなります。ぐい呑みを手に持ち見込みを見つめ、あるいはひっくり返して高台に指を這わせ、そして胴の景色を眺めています。特に胴の景色が富士山に見えるところがあり気に入っています。この富士山の稜線に沿って赤く土色が変化しているので、赤富士と名づけました。まだ目に見えた変化は少ないですが、少しずつ私の手に馴染んできています。